《息》

私は幼少の頃よくぬいぐるみと会話していた。小さい頃にははっきりと聞こえていたぬいぐるみの声。しかし大人に近づくにつれ、ぬいぐるみたちの声は小さくなっていった。

小さくなったぬいぐるみたちの声を複数集めるように、自分より大きな１体のうさぎのぬいぐるみ（※ 1）にして、もう一度ぬいぐるみの声を聞くというプランで制作を始めた。

作品に使用しているぬいぐるみはほとんどが YouTube の企画で取ったもので、大きくなったぬいぐるみから声が聞こえることはなく、本来は一緒の空間にいるはずのない海の動植物と陸の動植物や、現実には存在しないゲームのキャラクターやアニメのキャラクター、マスコットなどが繋ぎ合わされた巨大なぬいぐるみからは少し恐怖を感じた。この巨大化したぬいぐるみをグリーンキューブに設置した理由は、のちに出てくる写真作品で言及している。

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※ 1 集めたぬいぐるみが「うさぎ」であることは、『不思議の国のアリス』に出てくる時計うさぎをモチーフにしているのだが、アリスもまた、少女であったからこそ、うさぎが見えて、うさぎ穴に入ることができたのではと思っている。少女から大人になる過程の変化を、

今の自分を見つめる機会としているため形として「うさぎ」を採用した。